東京の湾岸にはこれでもかというくらい、タワマンが林立している。
タワマン(タワーマンション)という呼称には明確な定義はないそうで、おおよそ20階以上をタワーマンションと呼ぶのが一般的らしい。湾岸のタワマンは40階を超えるような超高層大規模タワマンも多い。
高層ならではの眺望とかっこよさ、大規模ならではの豊富な共用施設や充実したサービスを好む人達からは人気が高いようで、新規販売となるとモデルルーム見学の予約を取るだけでも一苦労ということもあるようだ。
ところで、「タワーマンション」という言葉に対して、それ以外のマンションのことを「板状マンション」と言ったりするようだが、みなさん聞いたことあるだろうか。
”板状”は、”ばんじょう”と読む派と”いたじょう”と読む派にわかれるようで、どちらも聞くけれど、おそらくどっちでもよい。
晴海フラッグには、タワーマンションは第二工区で建築中の2棟で、それ以外はすべて第一工区で完成した板状マンションが17棟ある。(賃貸棟も含めると板状は全部で21棟。)これらはなんとなく「板状棟」という呼び方をされているようである。
その板状棟の完成後に実際に内見に行った時の私の第一印象はというと、
「・・・なんとなく団地っぽいな」
棟はそれぞれデザインも異なっていてそれなりに素敵で、中庭や周辺もかっこよく整備されていて、とてもきれいなのだけれど、それでも、15階くらいの中層の板状棟が立ち並ぶ姿は、団地感が強いと感じた。
やはりタワマンのかっこよさにはかなわない。
これまで私は、タワマンが好きで気に入って、10数年間タワマンで暮らしていたので、はたして板状マンションでも満足して暮らせるのだろうか?と少し不安に思いながらの入居となったのだった。
さて、実際に住んでみたらどうだったか。
結論から言うと、大きな違いは見た目くらいで、中身の違いはあまり感じなかった。思った以上に満足度が高かったのである。
今回は、晴海フラッグの板状マンションのスペックはいかがなものかというところを、実際に住んでいる者の目線でお届けしたいと思う。(なお、分譲棟と賃貸棟では異なる部分も多くここでは分譲棟の標準仕様メインで書きます。)
各階ゴミ置き場&ディスポーザーは外せないコンビ
晴海フラッグ板状棟には、各階にゴミ置き場が設置されている。もちろん24時間いつでもゴミ捨てOKだ。
一度慣れてしまうと、これが無いのは考えられないくらい、なかなか便利な設備だ。
いつでも部屋から出て数歩でゴミを出すことが出来るので、Amazonのダンボール一枚でもワインの瓶一本でもさっと捨てに行ける。
ゴミ置き場の清潔さも重要だが、ゴミは頻繁に回収されているようで、常にキレイに保たれている。昼に捨てに行くと朝捨てたゴミはすでに回収済みだったりする。少なくとも私の住むフロアではゴミが溢れているのをまだ見たことがない。二重の扉で廊下にニオイが漏れることはないし、そもそも中に入ってもゴミ置き場が臭ったことはほとんどない。これは、清掃が行き届いていること、また住民のゴミの捨て方が良いこともあるだろうが、各部屋にディスポーザーが完備されていて、生ゴミを出すことが少ないことも大きいだろう。
ディスポーザーと各階ゴミ置き場が設置されていることは、快適生活の重要ポイントだと思っている。
共用施設数は並のタワマンを超える
以前の当サイトの記事(スポーツバー編、リモートワーク編byカイラーくん)でも紹介している通り、板状棟のそれぞれに共用施設がいろいろとあり、大半は全街区(賃貸棟を除く)または同じ街区内の住民は利用可能となっている。2025年完成予定の2棟のタワー棟SKY DUOにも共用施設が出来る予定で、48階に出来る眺めの良いスカイラウンジとバーは、全街区の住民が利用可能になる予定である。
つまり、タワー棟・板状棟で使える共用施設はほぼ同じということだ。
共用施設の数ではおそらくどのマンションにも引けをとらないだろう。
セキュリティー
セキュリティーに関しては、エントランス・エレベーターホール・エレベーター内でそれぞれ合計3回キーをかざす形式だ。フルタイムシステムが導入されていて、キーの代わりに任意のICカードやモバイルICを使うことも出来るが、玄関では鍵を出して開ける必要がある。
地下駐車場や中庭からも、外部の人が棟内に入ってこられるようにはなっていない。
自分の居住している棟以外の棟にはキーをかざせば入れるが、エレベーターホールから先は1階とB1階にしか行けないようになっている。晴海フラッグ内といえども、他の棟の居住フロアをうろつくことはできなくなっている。
また、インターフォンは自動の音声対応も可能なので、直接会話をしなくても画像と音声を確認して解錠することができるので、プライバシーが守られる。
タワマンとの違いといえば、コンシェルジュデスクや防災センターは、各街区に一箇所となっており、各棟にあるわけではない点である。ただ、敷地内には約750台の防犯カメラが設置されており、セキュリティーセンターにて24時間有人監視されているので、安心度は高い。
専有部の造り等
板状棟の居室の天井高は2500mmとなっていて、SKY DUOの2600mmに比べると少し低い。
ただ、どの部屋も梁がそれほどおりてなく、廊下や洗面所なども2300mm程度の天井高があり、割と広々としていると思う。サッシ高は約2100mm〜で板状にしては高いほうではあるが、角部屋を除いて窓はあまり大きくないのが少し残念だ。(※間取りによるところもある)
天井高についてはSEA VILLAGEは少し仕様が異なり、上層階は天井高が2700mm、3150mmの部屋もあるので、広々空間が好きな人にはおすすめだ。
なお、二重床・二重天井で、そのあたりは十分しっかりした造りになっている。
バルコニーの隔壁板も、上までしっかりあるので、プライバシーが保たれやすい。
建具やキッチンも高級感がある仕様で、気に入っている。食洗機やカップボード、ディスポーザーなど、あれば嬉しいものは一通り備わっている。
残念な点としては、24時間換気が第三種換気である点だ。しかもレンジフードの給気口も別にある。
第三種換気とは?こういうの↓が壁についていて、給気を行うタイプの換気システムだ。
よくあるタイプではあるが、これは見た目もごちゃつき感があるし、給気口周りの壁が汚れるし、外の音が入ってくるし、冬などは冷気が入ってきて少し寒い。
このタイプとは別に、機械で給排気を行う第一種換気というものがある。これのよいところは、壁の給気口がないところである。部屋の上の方に給気口が設けられるが、直接外に通じているわけではないので、冷気が入ってくるとか汚れるといった弊害は無い。
第一種換気はコストがかかるので、タワマンでも採用しているところとそうでないところがあるが、できれば壁ぽこじゃないほうが嬉しかったなと思う。(SKY DUOは第一種換気のようです。良いですね!)
エントランスロビー・廊下・エレベーター
ゴージャスな仕様になっていることが多いタワマンのロビーに比べると、地味ではあるが、板状棟ごとに趣の違うロビーになっていて、ロビー巡りもなかなか楽しいのでおすすめだ。
廊下に関しては、内廊下の棟も一部あるが、多くの板状棟が外廊下となっている。
好みはあるだろうが、個人的には内廊下のほうが良いと思っている。エントランスをくぐれば、もう家の中みたいなもので、暑さも寒さも雨風も関係ないし、玄関からの虫の侵入もない。
しかし今の私の住居は残念ながら外廊下の棟だ。
でも、晴海フラッグの外廊下は、幅1500mmで広く、思ってたよりもよい。清掃も行き届いている印象だ。天気の良い日などは、エレベーターホールも風が気持ちよい。
個人的に一番のがっかりポイントはエレベーターだ。内装がどうみても雑居ビルのエレベーターなのだ。乗るたびにテンションが下がる。
床はゴム、壁には養生フェルト…
これにはおそらくだが理由があり、晴海フラッグ板状棟のエレベーターは、ペットの同乗可、台車可、宅配業者も出前業者も清掃スタッフも利用可、という気前の良いルールが敷かれているのだ。台車やペットOKのためのこの内装なのだと思われる。
うちは犬を飼っていないのであくまで推測だが、犬の散歩に行く人にとっては、一般のエレベーターも使えることはたぶん便利に違いない。(一応、ペット連れは非常用エレベーターの利用が推奨されてはいる)
ペットの足洗い場も1階にあるし、犬連れは暮らしやすいと思う。
また、宅配業者が非常用だけでなく一般エレベーターも利用できることは、宅配の時短につながる。利用者側から言うと、タワマンでありがちな「最初のピンポンから家に届くまでが長い」というような待ち時間の問題が無くてすむのだ。
とはいえ、エレベーターの保護材、もう少しおしゃれにならないものか…とは思う。
ネット回線は標準で十分快適
細かい話のようで、意外と重要なのがネット環境だ。
晴海フラッグは、利用・未利用に限らず、インターネット利用料を毎月徴収されるのだが、標準装備のフレッツ光1Gbpsプランで十分な速度が出るため、それ以外になにか個別で契約する必要はない。無線ルーターも標準設置のため、特に何もしなくても、すぐに快適にネットが利用できた。(Wi-Fi利用で平均下り200〜250Mbps、上り130〜180Mbpsくらい。※あくまで個人調べ。より太い回線が必要な人は、フレッツ光クロスの10Gbpsプランにグレードアップが可能。)
もちろん各部屋にCat6Aのマルチメディアコンセントが設置されており、有線LANも使える。
また、共用施設等にも同等のWi-Fiが完備されており、晴海フラッグ内はどこでもネット環境が整っている。
たいてい、マンション標準装備のネット回線はなんだか今ひとつ…が普通だと思っていたので、これは嬉しい点だ。
以上、晴海フラッグ板状棟は、タワマンと比較するといささかの違いはあるものの、総じて質の良いマンションだという個人的感想を実際の仕様を説明するとともに述べてみた。
タワマンのような超高層ビューはないけれど、水辺に囲まれた眺望と、緑の多い広々とした空間で、快適な暮らしを送ることができるマンションであると思う。
■前回のハルフラのりすちゃんさんの記事
晴海五丁目船着場からBLUE FERRYに乗ってみた