新築マンションに住み慣れた方にはそれほど珍しいものに感じないかもしれませんが、賃貸から晴海フラッグに住み替えた自分にとって劇的に生活の質を押し上げたのが、ごみ捨ての環境です。分譲棟(SUN、SEA、PARK VILLAGE)には各階の屋内にごみ捨て場が設置されています。タワーマンションでは標準的ですが、板状マンションでは珍しいのではないでしょうか。24時間365日利用でき、捨てるときに雨風にさらされる、鳥獣のいたずらでごみが散乱するということはありません。「ごみの日」という概念がない生活は、思いのほか快適です。
「生ごみ」はほとんど発生しません。分譲棟のキッチンシンクには、ディスポーザーが備わっているためです。ディスポーザーとは生ごみを粉砕して排水溝に流せる装置です。生ごみが三角コーナーやごみ箱の中に滞留しないため清潔・無臭に保たれます。
晴海フラッグではシンクからの粉砕物と排水をいったん沈殿池にためて、微生物により分解してから下水に流します。そのため、粉砕だけのタイプより環境に優しくなっています。微生物は塩素系の漂白剤に弱いため、シンクに流せませんが別系統の配管の洗面所や風呂場から流せばよいため、実質の不便はほとんどありません。
各階のごみ捨て場に集められたごみは管理スタッフがワゴンで回収します。マンションによっては全ての階に止まる管理・貨物専用エレベーターを設けているところもありますが、晴海フラッグでは居住者・管理共用になっています。ただ、利用時は居住者優先というルールのようで、居住者が先に乗っているときは管理スタッフが乗り込んでくることはありません。管理スタッフは皆さん礼儀が正しく、いつもありがたい思いになります。
分別は東京都中央区のルールに従います。ディスポーザーで処理できない魚の骨や貝殻などは「燃やすごみ」に分類されます。ここで注意しないといけないのは、共用エレベーターでそれらも運ぶということです。何か臭うものを配慮せずに捨てると、臭いがこもってしまいます。自分たちの共用施設を快適に保つためにも、そういったものを捨てるときは袋を二重にするといった工夫が必要です。
また管理スタッフは外国人の方が多いです。筆者独自の配慮として割れた食器や刃物を捨てるときはしっかり紙で包み込んだ上で、日本語の「キケン」とともに英語で「Danger」と太い油性ペンで書き込んでいます。
スタッフが各階のごみ捨て場から回収したごみは、棟ごとに地下に設けられた集積場に集約されます。粗大ごみは区の専用電話やサイトで予約の上、処理チケットを貼り回収日に合わせてこの集積場に持って行きます。これも風雨にさらされることがなく、部外者による持ち去りの可能性が少ないという点でありがたいです。(筆者は都内の賃貸マンションに住んでいた頃、自分が捨てたスーツケースを近所で見ず知らずの方が使っていて驚いた経験があります。実害はありませんでしたが…)
収集車は、地下駐車場の専用駐車スペースに止められ回収作業を行います。そのため、地上で収集車を目にすることはほとんどありません。
ごみ捨ては生活の質に大きく関わります。例えば地方都市の戸建てに住まう両親は、町内会のごみ捨て場管理当番になった1年、遠くへの旅行をあきらめざるを得ませんでした。そうした心配がないのはマンションの管理費で適切に管理会社がインフラを運用する大規模マンションならではメリットだと思います。
快適を保つ配慮の届いた晴海フラッグのごみ捨てシステムの設計は、住んでいて感心させられます。少しでもこの住環境の持続可能性を高めるため、住民一人一人が分別などのルール順守に努め、マナーを心がけることも大切だと筆者は考えています。
■前回の晴海のアルパカさんの記事
街のビール屋さん「柴田屋酒店」リポート